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「……う、きょう?」
あまりの俺の勢いにたじろいで身を引いた彼女が、その猫目を上目遣いにして、確かめるように俺の名前をなぞる。
「うんっ!何っ!?」
彼女に俺の名前を呼ばれた瞬間、堪らなく自分の名前が愛しく思えて。
俺はまるで犬みたいに、ない尻尾を振って、今にも飛び掛かる勢いで彼女に答えた。
「べっ……別に、呼んじゃいないわよっ」
彼女は再び、そして一層目をつり上げて怒鳴り、顔を背けた。
「うん」
それでも頬は緩みっぱなし。
やっぱり、先輩としての威厳なんてもうどうでもいいや。
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