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「……あらら」
思いのほか力のない軟弱な自分の手の平を、握っては開いてを繰り返しながら、小さな溜め息とともに見つめる。
その間に、彼女は勝ち誇ったように俺を見下げ、ふんっと鼻を鳴らしたと思うと、軽やかに体を翻し、颯爽と去っていった。
「なぁに、あれ」
「感じ悪ーい」
ないがしろにされていた取り巻きの女たちは俺に腕を絡ませたと思うと、怒りの矛先を彼女に向けて、口々にその背中に非難の声を浴びせる。
俺は軽く溜め息を漏らして、にっこり笑った。
「こらこら。悪口言う子は可愛さ半減だよ。せーっかく可愛いんだから、はいっ!笑って笑って」
宥めるように言うと、女の子たちは口を尖らせて不満げな声を上げながらも、満更でもない様子で互いの顔を見遣って笑った。
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