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「……変な奴」
調子が狂ったのか、彼女は怪訝そうに俺を見て呟いた。
「ははっ」
そんな、俺だけに向けられた彼女の一挙一動が、馬鹿みたいに俺を笑顔にする。
「みちるちゃん」
そう呼び掛けると、大きな猫目が俺を見上げて、「何?」と急くように問い掛けた。
こっそりと屋上の扉を気にする彼女に、そんなにこの向こうに居る宇佐美がいいもんかと、少し落ち込むけれど。
「俺ね、みちるちゃんが好きみたい。っていうか、好きだわ。……なんか、無性に」
想いをぶちまければすっきりするかと思っていたのに、何故か胸は熱くなる一方で。
この衝動も彼女も、どうしたら上手く手懐けられるだろう。
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