特効薬、ください。

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「あ、そう」 そんな俺に反して、清吾は短く冷たく、そう言い捨てる。 「だから、何。いちいちそんな事、言いに来なくていいし」 そう付け加えられた心無い言葉に、しゅんと小さくなる。 だけど、どんどん縮こまる俺を見兼ねたのか、清吾は呆れ気味に溜め息を漏らして、更に言葉を付け足した。 「良いんじゃない。なんの気まぐれか知れないけど、今までまともに恋愛してこなかった右京が本気になったんだから。青天の霹靂だな」 からかうように目を細め、皮肉を交える清吾の言葉には優しさが滲んで、じんと熱いものが込み上げる。 やはり、持つべきものは血を分けた兄弟だ。 この感動を表すべく、とりあえずハグを……と両手を大きく広げ、清吾を迎え入れる準備をした。  
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