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「うちら、ずっと右京と話したかったんだぁ。ねっ、今度一緒に遊ぼうよ」
逃がすものかとでも言うように、その中の1人がだらしなく出た俺のシャツの裾を掴んで、上目遣いで言う。
んー……
今までなら、可愛いと思っていたのかな?
過去の自分に問いかけてみるけれど、何も考えずに頷いていた事を思い出す。
女の子の存在がパッとその場を華やかに彩ってカラフルになると、信じて疑わなかったから。
だけど、そういえば。
ふと思い立ち、視線だけを動かして周りを見回せば、特別な何がなくとも、いつもより全てが輝いて見える気がする。
……なんて言ったら大袈裟だし、ちょっと嘘になるけど、今まで感じた物足りなさや味気なさはこれっぽちもない。
それこそ、本当に満たされている、って感じ。
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