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「……あんた、よっぽど暇なのね」
みちるちゃんは俺を見付けるなり、小馬鹿にしたように言った。
彼女に会いたいが為に待ち伏せするようになったこの場所は、いつしか俺にとって落ち着ける空間になっていた。
かつては苦痛でしかなかった、ぼんやりと1人で過ごす時間も、ここだと不思議と安らげる。
自然と足が向いて、俺は殆ど毎日、いつ現れるかも分からない彼女を待ちながら、ここで時間を潰していた。
「そう言うみちるちゃんもね」
週に2、3回、放課後になると彼女はやって来て、扉の向こうへ消えていく。
宇佐美って奴は、一体この先で何をしてるんだろう。
放っておけば、時間さえ忘れてしまうような、何を……
でも確かに、床に寝転がって空を仰ぐのはなかなか悪くなかったし、時間も忘れてしまいそうだけど。
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