特効薬、ください。

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「またね」 怒りを纏う背中にそう声を掛ける。 すると、彼女はぴたりとその手を止めて、顔を少しこちらに傾けた。 「……何か、あった?」 その行動を不思議に思っていると、彼女の方から質問を投げ掛けてきたから、驚きを隠せなかった。 「……何で?」 ただただ不思議と驚きで、きょとんとしながら首を傾げる。 「元気ない」 そのひと言は、とにかく衝撃的だった。 なんて言い表したらしっくりくるだろう。 とにかく、心の真ん中を射抜かれた感じ。 ちゃんと“俺”という人間を見てくれていて、関わろうとしてくれる。 そんな彼女に、まだ恋の入口に居た俺は、この瞬間、完全に堕ちた。  
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