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「……最初は、そうだったかもね」
含みのある言い方に、僅かながら希望の光が差し込んで、食い付くように身を乗り出した。
「“最初は”?じゃあ……今は?」
そう尋ねる俺を一瞥した彼女は、少し面倒臭そうに一息置いた。
「騒々しい馬鹿」
切って捨てるような物言いに、がっくりと肩を落とす。
それじゃ何も変わってないじゃん、と内心で抗議しながら。
「あと、厚かましいし、馴れ馴れしいし、鬱陶しい。それから……」
更に続く形容詞に、むしろ最初の印象よりも悪くなっている事に青ざめる。
しかもまだ続く気配に、しょんぼりと体を小さくして続きを待った。
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