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ロイのメモを頼りに自分たちがこれから過ごす教室に向かった
亜音のドジぶりが余程心配だったのか零音とクラスは一緒らしい
「おはようございます♪」
カラカラと乾いた音のする引き戸を開け亜音が能天気な声で挨拶した
『おはよう…』
振り向いた何人かが当たり前のように返事を返してくれたが…
『……』
入り口に佇む二人を見て止まる
(あれ?ロイの魔法…効いてないのかな?)
キョトン顔の中に焦りを隠し立ち呆けていると
「亜音邪魔!」
身体を滑り、すれ違うように教室の中に入って行く零音
ごく当たり前、自然のことのように空いた席にカバンを置いた
すると
『ちょっ、ちょっと!!うちのクラスにあんないい男居た!?』
『嘘…私も今まで気付かなかった!!』
クラス中の女子達がざわめきだち我先にと零音に群がった
『ねぇ♪彼女いる?』
『今度カラオケ行かない?』
口々に零音を誘い寄り添う
挙げ句に
『君になら全部捧げてもいいかも~♪』
『私も!!』
「まあまあ~そんなに焦らないでよ♪
順番に相手するからさ♪」
したり顔で余裕そうに皆を相手し、周りの男子が聞いたらムカつきそうなセリフをシレッと言った零音
(もう溶け込んでる…)
そんな光景を見て入り口で立ち尽くしたままの亜音は口をポカンと開いたままだった
我に返りもう1つ空いた席を見つけ自分も座る
(なんか普通に気付いてもらえない…)
零音との歓迎の違いに少しションボリしながらも
(前から居る設定だから仕方ないか…)
と、自分を慰めるように納得した
(もうすぐ授業も始まる…頑張んなきゃ!!)
心の中で自分にエールを送り、ホームルームが始まるのを待った
新しい環境
新しい学校
新しいクラスメイト
心踊ることばかりがこれから起こるかと思うと亜音は興奮を抑えることが出来なかった
教室をキョロキョロ見渡し風景を目に焼き付ける
騒がしい零音の団体を無視して自分の後ろの席に誰も座っていないことに気が付いた
(空いてる席かな?)
何の気なしに思った
さほど気にもしないくらい
そんな時、予鈴が鳴り少し早めに担任らしき先生が入って来た
(キャッ♪始まる!)
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