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『さぁホームルーム始めるぞぅ~』
間延びした言い方で先生が入って来た
すると、今まで零音に群がっていた女子生徒達も少し名残惜しそうにしながらも各自席に着席
ざわつきも無かったかのように皆行儀良く静かになった
零音に目を向けると満足顔
どうやらこの学校でも零音にとっては感触が良かったようだ
(きっとこの学校でも女子達の血を吸いまくるんだろうな…)
ちょっと呆れちょっと羨ましい
美しい身なりに勝手に寄ってくる女子達
零音はそれらを気の向いた時に誘い血を吸うだけ
それもまだ若く半人前なためほんのちょっとの血で満足出来るらしい
姉弟といえど零音がどんな誘いで血を吸うのかは亜音も知らない
ただわかるのは…自分よりちょっとは経験有りだということ
どこまでかわかんないけど…
先生が点呼を始め、そんなに時が経たないうちにある子の名前を連呼し出した
『オウガミ~!凰上櫂斗~!!
凰上は居ないか~?
なんだよアイツまた遅刻か?』
(オウガミ君?居ないのかな?)
教室中を見渡すも返事をしそうな子が居ない
『しょうがねぇなぁ~…』
そう言って先生が次の子の名前を呼ぼうとした時
カラカラ!!と乾いた音が響いた
『凰上!遅刻するならこっそり入って来いよ!!
堂々とし過ぎて可愛くないぞ!!』
先生が向けた言葉と引き戸の音に釣られて亜音はその方を見た
「寝坊しました…すんません…」
仏頂面に眠そうなのをプラスしたような不機嫌な男子生徒
制服を着崩し焦ることもなく亜音の後ろの席に座った
ドキッ!!
亜音の胸が爆つく
ドキッ!ドキッ!ドキッ!
(な、なに!?め、めちゃくちゃカッコいい♪
超~カッコいいよぅ!!)
一目で惚れた
眠そうな顔も
仏頂面な感じも
着崩れた制服から覗く胸元も
そして…少し鼻にかかったような低い声
赤茶けた髪がクセを残しそれでも柔らかそうな見た目に亜音は理想の男の子に出逢えたかのように見惚れた
(こ…これが…一目惚れ…♪)
たちまち亜音の目はハートマークに
真後ろに身体を向けたまま固まった
(悪魔様大王様!!私は恋をしました♪)
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