魔界人だって恋をする

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給水塔の裏に向かった櫂斗を追うように、けれども近付くわけでもなく櫂斗が見える場所に座った 足を伸ばしお弁当の包みをほどく 誰にも咎められないこの屋上だったらニンニク風味唐揚げは最高の主役だ♪ 躍る気持ちを隠そうともしないで亜音は 「いただきます♪」 と言った 何よりも先に唐揚げをつまみ口に運ぶ 冷めても美味しいロイ特製唐揚げ 「うーん美味しい♪」 思わず声にしてしまう パクパクと口に入れ、チラチラと櫂斗を覗き見る 給水塔に背中を預け気持ち良さそうに眠る櫂斗を見つめた (また寝てる… お昼ご飯食べないのかなぁ…?) ふと思った疑問 朝からずっと寝てる 授業中だってそうだったしお昼休みだって… (お腹空かないのかな?) 箸をくわえ亜音はまた見続けた そろそろ食べ終わる 最後の残り1個の唐揚げ 締めに残して置いた お弁当を見下ろしその最後の唐揚げをつまもうとした時 ヒョイッ!と唐揚げが浮いた 表現が可笑しいかもしれない。 浮いたというより…つまみ上げられた 「あっ!?唐揚げが!!」 つまみ上げられた唐揚げを目で追い行き先を辿ると… 「うん…うめぇじゃねぇか…」 口をモグモグさせた櫂斗が立っていた 「お、凰上君!!」 「うん…悪くねぇ味だ… まぁ女の弁当にしたら…ちょっと色気ねぇけどチョイスは悪くねぇ!!」 「あぁ~最後の締めに残してあったのに~!!」 「悪りぃな…旨そうな匂いだったからよ…」 「本当?」 「あぁ…匂いも味も旨かった… ごちな!」 それだけ言って屋上を出て行く櫂斗 その背中を見つめ、締めを奪われた悲しさよりも話せたことと大好きな唐揚げを誉められたことに喜ぶ (キャッ♪凰上君と喋っちゃった♪ 美味しいって言ってくれた♪ う、嬉しい~♪) 小さなガッツポーズをし心踊らせる亜音 (明日からもやっぱり唐揚げは欠かせないよぅ♪) 亜音は櫂斗と似ているものがまた1つ増えて喜びが増した .
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