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放課後
カバンに教科書を詰め帰り支度
教室の片隅ではまた零音を取り巻く生徒達
小さなため息を漏らしながら振り向くと、さっきまでいたはずの櫂斗の姿がもう消えていた
(えぇ?もう居ない!帰っちゃったの?)
慌てて櫂斗を追うように教室を飛び出した
『ねぇ~間宮君!!カラオケ行こうよ♪』
「えぇ~どうしようかなぁ~?」
『行こうぜ?』
「でもなぁ~♪」
亜音が教室を走り出た後も零音は何人かの生徒達と話していた
誘われてもOKとは言わない
勿体ぶらせて焦らす
1人1人の顔を見ながらどれが一番美味しそうな血をしてそうか吟味していた
『清流院さん!!このままでは学園の風紀が乱れてしまいます!!』
放課後の学校内点検を兼ね数名の部下を連れ歩く風紀委員長
部下のその一言を聞き彼は足を止めた
「風紀が乱れる?何故ですか?」
『今までこんなことなかったんですが…
何故か○組のある生徒に学年中の生徒が群がってるんです!
女子生徒に限らず、男子生徒までですよ?』
「何故そのようなことに?」
『さぁ…多分ですが…その注目されてるって生徒が…
可愛い…と言いますか…
綺麗…と言いますか…』
「可愛い?綺麗…」
『はぁ…まぁ…』
「その女子生徒がそんなに人を惹き付けるほどなのですか?」
『いぇ…女子生徒ではなくて男子生徒なんですよ!!』
「えっ?」
清流院と呼ばれた風紀委員長
部下の最後の言葉に眉をひくつかせた
「○組とおっしゃいましたね?」
『はい!!』
「面白い…行ってみましょう…」
『えっ?あ、あ、はい!!』
クルリと踵を返し部下が言った○組に向かった清流院だった
『キャハハッ♪間宮君面白い~♪』
まだまだ続いていた零音を取り巻く生徒達の群れ
(今日はそこまでお腹空いてないからそろそろ帰りたいんだけどなぁ…)
そんなことを思いながら愛想笑いをする零音のそんな姿を廊下から見つめる1人の男
メタルフレームのメガネを押し上げ不適に微笑んだ
「彼…ですか…
なるほど…わからなくもないですね…
私も朝見とれたくらいですから…
面白い…
彼の魅力で風紀が乱れるというなら…
私が彼を手懐けてしまいましょう…」
清流院のターゲットに零音が選ばれた瞬間だった
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