△(好き)と(好き)

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   山ちゃんは  目を見開いて僕を見た。  涼 「さっき    …好きって言った、よね?」  裕 「…、うん」  涼 「だったら、なんで…」  …なんでだろう、  ごめんね、僕にも分からない。  裕 「山ちゃん…」  掛ける言葉が見つからない。  絞り出して出たのは  山ちゃんの名前だった。  すると山ちゃんは軽く笑った。  涼 「…『なんで』なんて    聞かなくたって    俺分かってんのに    まじ…馬鹿見てえ…っ」  裕 「え…?」  髪の毛をぐしゃっと  掻き乱した。  涼 「やっぱ裕翔くん    気付いてないけどさ…    さっきからずっと    "知念"のことしか    話さねえんだもん」  知念、という言葉に  ドキっとした。  裕 「僕、そんなに話してなんか…」    涼 「話してた、…ずっと    嬉しそうに話してた。    なんか俺、悔しくてさ…    俺と一緒にいるのに    裕翔くんは違うやつを    想って…幸せそうに笑う。    だから、分かってんのに。    俺のこと、恋愛対象として    好きじゃないことくらい、さ。    でも…っ、やっぱり    俺は、裕翔くんが    好きで…仕方ないんだ…っ」  山ちゃんの瞳から  涙が一筋流れた。  山ちゃんのことは  好きだよ、大好き。  …でも、  山ちゃんの(好き)と  僕の(好き)が  違うかったんだね、  たった、それだけのことなのに  …僕は、  山ちゃんを傷つけた。  
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