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山ちゃんは
目を見開いて僕を見た。
涼 「さっき
…好きって言った、よね?」
裕 「…、うん」
涼 「だったら、なんで…」
…なんでだろう、
ごめんね、僕にも分からない。
裕 「山ちゃん…」
掛ける言葉が見つからない。
絞り出して出たのは
山ちゃんの名前だった。
すると山ちゃんは軽く笑った。
涼 「…『なんで』なんて
聞かなくたって
俺分かってんのに
まじ…馬鹿見てえ…っ」
裕 「え…?」
髪の毛をぐしゃっと
掻き乱した。
涼 「やっぱ裕翔くん
気付いてないけどさ…
さっきからずっと
"知念"のことしか
話さねえんだもん」
知念、という言葉に
ドキっとした。
裕 「僕、そんなに話してなんか…」
涼 「話してた、…ずっと
嬉しそうに話してた。
なんか俺、悔しくてさ…
俺と一緒にいるのに
裕翔くんは違うやつを
想って…幸せそうに笑う。
だから、分かってんのに。
俺のこと、恋愛対象として
好きじゃないことくらい、さ。
でも…っ、やっぱり
俺は、裕翔くんが
好きで…仕方ないんだ…っ」
山ちゃんの瞳から
涙が一筋流れた。
山ちゃんのことは
好きだよ、大好き。
…でも、
山ちゃんの(好き)と
僕の(好き)が
違うかったんだね、
たった、それだけのことなのに
…僕は、
山ちゃんを傷つけた。
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