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「はい、それらを扱う際に重要なのは決して自分のものにしようとは考えないこと。つまり、強制的に気を取り入れないことが大事になります。」
「うん、さすがねミレイナ。そう、いつ何時も自然に力を借りるという気持ちを忘れてはいけません。それを忘れれば、手痛いしっぺ返しを喰らいますからね。わかった?メルシア。」
「ちっ………。」
メルシアが舌打ちしながら、顔を外に向ける。
ちょうどその時、授業終了の鐘がなった。
「はーい、じゃあ今日はここまで。家に帰る人は何人かで帰ること、寮の人は夜更かししないように。」
わらわらと生徒達が教室を出る。
友達と遊びにいくもの、そのまま帰るもの、残って雑談するもの。
放課後は生徒にとって至福の時間だろう。
………メルシアは、そのまま外を眺めていた。
「毎日まいにち、つまらねぇ………。」
「何を黄昏れているのかしら?メルシア。」
「………何だよ。」
「あなたが黄昏れているのは、似合わないわよ。………問題児のあなたは。」
「うっせぇなぁ、さっさと自分の豪邸に帰れよミレイナ。」
「あーら、せっかく暇そうにしているメルシアさんに話しかけてあげたのに。」
すると、ミレイナの友人達が三人ほどきた。
「ミレイナちゃーん、早く帰ろうよ。」
「いいスイーツ店がオープンしたらしいですわ。行ってみます?」
「そうね、行きましょ。………じゃあメルシア。せいぜい喧嘩なんかしないように。」
ミレイナ達も教室を後にする。
「っち。………本当あいつうざいな。」
俺も寮に戻るか。
………特にやることもないし。
「あ、売店でアイス買わないと。切れてた。」
メルシアは冷たいものが大好き。
服装を見ればわかるが、暑い、熱いのが苦手だ。
アイスに関してはお金を惜しまない。
………廊下を歩いて売店へ向かう途中、メルシアに道を譲る生徒が何人かいた。
いわゆる問題児な彼女を、怖がる生徒は少なくない。
「………ち、どいつもこいつも私と目を合わせようともしねぇ。」
よわっちい奴らだ、みんな。
………お嬢様ばっかりだから、俺はつまらないんだよ。
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