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売店
寮生活するものには、ここの売店は重要だ。
小腹が空いた時に、などなど。
「はい、いらっしゃい。あらメルシアちゃん、今日もアイスかい?」
「おばちゃん。………ああ、十本くらい頂戴。」
「本当に好きだねぇ。よいしょ、はいよ。」
アイスがたくさん入った袋を手渡される。
冷たくて気持ちいい。
「あんがと。………はい、お金。」
「まいどあり。お腹壊すんじゃないよ?」
「あいよー。」
気さくなやり取りをかわし、メルシアは寮に戻る。
「お金………、あんまりないな。姉貴に請求すっか、明日。」
うちの姉貴は仮にも国のトップ、王宮の女王側近だからな。
金だけは有り余ってるはずだ。
「しばらく会ってねぇなぁ、姉貴とも。………まぁあんな奴に会っても仕方ないし。」
寮につき、部屋に入ろうとする。
………何やら隣の空き部屋に荷物を運んでいるのがわかった。
「ん?誰か転入してくんのかな。」
フードをかぶった暗い感じの人達が必死に荷物を運んでいる。
すると後ろから一人の少女。
「すまない、手伝ってもらって。私一人でいいと言ったんだが。」
「い、いえ。あの方の命令なので逆らうわけには………。」
『あの方』によほど恐れをなしているのか、必死に作業を続ける。
「全く、お姉ちゃんは何を言ったんだか。………ん?」
少女がメルシアに気づく。
その少女は黒髪で、凛としたたたずまい。やはりどこかただ者ではない雰囲気だった。
「…………お前、転入生か?」
「ああ、そうだ。君はここの生徒か。………隣同士だ、よろしく頼む。」
「………よろしく。」
何だ、こいつ。普通の格好してるけど、どっか変わった雰囲気だな。
…………何と言うか、強い。
強さを感じる。
「ま、いいか。…………ん?」
隣に運ばれている荷物の中に、変わったものがあるのに気がついた。
それは長く、巨大なもの。
「…………剣っ?」
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