現実

2/6
前へ
/40ページ
次へ
「………和久…っ!」 ガバッ!! 俺は勢いよく目を覚ました。 「……あ、れ…?」 枕が湿っている。 「よ、よだれか…?」 鏡を見ると涙のあとがくっきり残っていた。 「泣いてたのか…」 時計を見る。 「………7時…か…」 あの世界から戻ってきた。 いつものことだ。 なのに… 「く…っ、うぅっ…!」 いつもと違う寝起き…涙がとまらない。 「……よし」 泣いていても仕方がない。 「学校…行くか…」 「おはよう!」 「…おう」 教室に入るなり話しかけてきた   ミズナシ イオリ のは水梨 季織だ。 中学生の頃に知り合い、何かと世話になっている。 「どしたの?元気ないね?」 「…あっ…いや…い、いつもの俺だぜ!?」 「……夢でなんかあったとか?」 「……」 「やっぱり?昨日まで普通だったもん。昨夜なんかあったとしか思えないよ」 「…あぁ、そうなんだ」 コイツは俺の『体質』を知っている。 ていうか教えた。 信用できるしね。 「あたしに出来るコトあったらなんでもするよ?」 「ホントか?じゃあ…」 「なに?」 「話しかけないでくれ」 「ぅええええぇぇぇぇ!?ちょっ、ちょちょちょっとぉ!」 「…なんだ?」 「あ、いやっ…なんで?」 「寝るから」 「ふぇ?」 「だから、寝るんだよ。夢の続きを実行する」 「な、なるほど…」 「今日は全授業寝るから先生に見つからないようにフォローしといてくれ。俺の席、お前の後ろでちょうど隠せるしな」 「いぃ!?ホントに!?」 「おう。だから抜けた分の授業は、今度教えてくれ。また何かおごるからさ」 「う、うん」 「んじゃ頼むぞ」 「わかった…」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加