現実

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くすっ、と大人の魅力を感じる含み笑いだった。 「は、はい。友達が大ファンでして」 「へぇ…でも、なぜそんなに急いで?」 「…実は訳あって友達に絶交されてしまって…それで秋宮さんのサイン入りのフィギュアが必要になって…」 「じゃあ、それをあげて仲直りしようとしてるの?」 「はい」 「(……それじゃあうまくいかないと思うけどな…)」 「…?どうしました?」 「いえ…コレは私からのアドバイスだけど…それを渡すだけじゃあ、きっと仲直りできないと思うわ」 「どうしてですか?」 「それは自分で気付きなさい?」 「は、はい…」 それから俺はサイン会をあとにした。 「ははっ」 俺は上機嫌だった。 これでアイツも仲直りしてくれるぞ~! 調子に乗ってスキップでアイツのマンションへ向かう。 「よし!着いた」 マンション下に到着。 「はっははは!階段で上がっちゃおっと~」 俺は舞い上がっている。 ほかの住人の人の視線が気にならない。 「ハッハー!」 俺はハイテンションで階段を駆け上がり、アイツの家の扉前に着いた。 腕時計を見る。 「7時前か…」 起きてるかな…。 恐る恐るインターホンを鳴らす。 ―ぴんぽーん…ガチャ… 「…!」 出てきた…。 「よ、よう…」 声を掛ける俺。 「…なんだ?」 「あ、あのさ、コレ…」 「…?」 俺は例の『ブツ』を手渡す。 「…!?」 ビックリしてやがるぜ…。 「なぜコレを持ってるんだ…?サイン付きじゃないか…」 「まぁな!それやるからさぁ、赦してくれよ」 「………返す」 ………………え? 「お、おい?なんで…―」 「うるさい。帰ってくれ」 ―バタン。 な、なんでだ…!? 「お、オイ!開けてくれよ、ッ―!?」 なぜだ!?眠気が…! 「くっそ…っ!」 《りーんりーん…》 『何者カニ睡眠ヲ妨ゲラレマシタ。目覚メテクダサイ』 『データを上書きしています…しばらくお待ち下さい…』 『セーブに成功しました』
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