日常が崩れ落ちる音。

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細く短い廊下の左右に洗面所とお手洗い。 その廊下を抜けると一○畳あるかないかの小さな部屋が一つ。部屋の真ん中に配置されているテーブルには既に青井が寛いでいた。 三沢は一人暮らしだった。三沢だけに限らず、この街の学生は何故か一人暮らしが異様に多いのだ。 「ういしょ」 青井と向かい合う様に青井の反対側に腰掛ける桂零。 良く来る家ではあるが改めて見回して見ると、狭いな、とついつい思ってしまう。 廊下から見て部屋の奥にベッド、左側に本棚と机、右側にテレビと事実狭苦しい部屋である。 因みにキッチンは廊下の途中、部屋の手前に備え付けられている。 三沢がテーブルの廊下側に落ち着いた所で、桂零は本題を聞く。 「なぁ、今日何で急に呼び出したんだ? しかもこんな時間に。明日学校だぜ?」 「暇だったから」 即答だった。 桂零の真正面の青井が吹き出したが、そんな事よりも桂零は三沢の返事に驚愕していた。 家はそんなに離れていないが時刻は九時を回っている。結構真面目に学業をする桂零には若干ながらキツイ時間ではあった。 「お前なぁ」 「まぁまぁ」
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