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「うーし、一本目!!」
「アタシも!!」
三沢と青井が缶に手を伸ばす。三沢がレモンで青井がピーチ。
プルタブを開けるとプシュッと心地の良い音が鳴った。
「「カンパーイ!!」」
「へいへい」
ぐびぐびと酒を喉に通す二人の様子を、桂零は肘を机に置いて掌に顎を乗せて、退屈そうに眺めていた。
……。
…………。
………………。
時が経つのは気付くタイミング次第であっという間だ。
時刻は既に十時半を周り、缶チューハイも最後の一本ずつを二人がチョビチョビ飲んでいる状態。
三沢はまだ良いが、と部屋の状況を見て桂零は呆れていた。
何もないのに、エヘエヘヘ、とニヤニヤ笑い続ける三沢から視線を外して自分のすぐ横に視線を移す。
「零君ちゅっちゅ、ちゅっちゅー」
「うわっ!! 酒くせぇ!!」
バカップルの片割れの様に桂零にギューッと抱き着く青井がそこにはいた。
腕に当たるプニプニと心地の良い感触に気を取られない様に頭の中で必死に因数分解の存在理由について考えていた桂零だが、彼もまた男だ。欲望には勝てない。
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