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チュッ、と唾液が撥ねる様な音がして、青井の顔が一度離れた。
戸惑う桂零の目に映るは青井の妖艶な笑み。艶めかしいその表情に思わず見とれてしまっていた。
「ちょ、青井お前酔いすぎ……」
ハッ、と我に帰って青井から視線を逸らした桂零。逃げ出したい気持ちで一杯だった。だが逆に、欲望に忠実で「もう一回!!」と叫ぶ一面もある。
頭の中で天使の桂零と悪魔の桂零が戦う。
『今帰れば無かった事にできるかもよ? 青井は酔ってるし記憶もないだろう』
天使の桂零が微笑む。
『いいや、今なら青春するチャンスだぜ。記憶なくなるなら尚更だ、襲っちまえい!!』
悪魔の桂零が天使とは別の微笑みを見せ付ける。
そんな桂零の葛藤を余所に、
「零君かわいい~」と甘ったるい声と同時、ブワッと鼻を擽る様な香水の匂い。そして、軽すぎる体重と真逆な怪力が桂零にのしかかった。
「うおわっ!?」
しかし桂零の悲鳴はあっという間に掻き消された。
ブチューッ、と。もう一回。
(あああああ!! 俺はどうすれば良いんだぁああああ!?)
欲望と理性の狭間で、桂零は悩む。
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