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桂零がビシィッ!! と指差す一○メートル程先、そこには腰まである長い黒髪をポニーテールにして掴みたくなるくらいに可愛らしく揺らすモデル体型の美女がいた。
月明かりに照らされる白い肌がとても美しく、輝いていた。
ツン、とした態度。腰に片手を添えて立ち止まり、桂零を見下す。
ある種の御褒美視線を叩き付けられるが、桂零にはそっちの気はなく、ガルル、と躾のなっていない犬の様にその美女に牙を剥いていた。
「あんたが無視するのが悪いんじゃない」
フン、と鼻で息を抜いて「当たり前の事を聞くな」と不機嫌な美女は腕を組んでソッポを向いた。
「それがお前の常識なのか!? だったらどんだけ人外なんだよテメェは!?」
威勢良く反論した桂零だったが、美女がズイッと一歩前に出ると怯える仔犬の様にシュンと小さくなって一歩身を引いた。
「何よ?」
「……何でもないっす。さーせんした」
「その居酒屋バイトみたいな喋り方ムカつくんだけど」
「すいませんでした。お嬢様」
「ふざけてんの?」
ビキッ、と美女のコメカミに華奢な身体からは想像も出来ないぶっとい血管が浮かんだ。
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