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二人並んでゼーハーゼーハーと肩を揺らす。
並んで見ると、美女の方が若干背が高いのが分かる。
プルルルル!! と不意に電子音が夜道に鳴り響いた。
桂零のポケットに捩込んである携帯電話からだった。
わりぃ、と美女に一礼してから桂零はポケットから黒い携帯電話を取り出して画面を開き、相手を確認する。
バカ。
画面にはそう表示されていて、その上に緑色のTELの大きな文字。
(そういや、俺。アイツん家向かってる所だったな)
ふと何故こんな暑い中外に出ているのかを思い出して桂零は携帯電話を耳に当てる。
『まだか?』
電話の向こう側。桂零の親友--三沢裕也もといバカの開口一番はとても短いその言葉だった。
挨拶もなしに、とは思わない。それだけの仲である証拠だ。
汗で肌にべたつくTシャツをバタバタと煽りながら、
「わりぃ、多分偶然、青井の奴に捕まっちゃってさ」
多分偶然、を強調して桂零はそう言い、美女に目をやる。
美女--青井愛はムッと表情を歪ませて桂零を睨むが、疲れているのか飛び掛かっては来ない。
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