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「……これ、お前に蹴られたからじゃねぇか」
桂零の確かに的を射た言葉は、青井には届かなかった。
◆
四階建ての白いマンション。壁の片側に廊下と扉が並ぶ。その最上階の一番端の扉の前に青井とゲッソリとした桂零。
目の前の安っぽい扉がガチャリと開くと、中からやたら髪の長い男が顔を覗かせた。
整った顔立ちが勿体ない、と初めて彼－－三沢裕也を見た人は思うだろう。
肩の下まである長い痛んだ金髪が整った顔立ちをダメにしていた。
「いらっしゃい。青井ちゃん」
「よっ」とまるで通い慣れてるかの様に青井は三沢の横をスルリと抜けて三沢の自宅へと入って行った。
そこで、バタン、と扉は絞まった。
「……、」
廊下に一人残された桂零は、心地の良い夜風に浸りながら、覗き穴からの視線を感じていた。
はぁ、と溜め息を吐いた所で再びガチャリ、と扉が開いた。
「ぶっ飛ばすぞテメェ」
「まーまー、そう怒らずに」
手招く三沢を、へいへい、とかわして三沢宅へと侵入した桂零。
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