2人が本棚に入れています
本棚に追加
大きな爆発音が響いた
その後、自分は死んでしまったのではないかと錯覚するほど辺りは静かになった。
少女はゆっくりと目を開く。
「………!?」
そこには一人の青年が何事もなかったかのように立っていた。
しかも、周りを取り囲んでいた盗賊達は一人残らず倒れているではないか。
少女には直ぐに分かった。
この青年が盗賊達を返り討ちにしたのだと。
「お兄…ちゃん…?」
少女の頭の中に何かがフラッシュバックする。
「……っ!?」
青年はその言葉に、何故かたじろいだ。
「あ…いえ…
危ない所を助けていただき、ありがとうございました!」
少女は頭をぺこりと下げてお礼を言った。
「別に助けたつもりなんてねぇよ。」
青年はそう言うと、
再びさっきまでの無表情に戻った。
「盗賊達が言っていたように、
俺が爆焔使いのアルクスだ。
俺が…怖いだろう?」
爆焔使いのアルクス…
それは誰もが知っている、5年前にヘスカトーレ王国でテロ事件を起こした張本人である。
「何か…
事情があったのでしょう?」
少女からの予想外の言葉に、アルクスは目線を逸らした。
最初のコメントを投稿しよう!