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「逢氷さー、何で遅刻したの?」
「理駆と同じ寝坊ー」
「あれ?俺寝坊なんて言ったっけ?」
「…何となくだよー。理駆って寝坊するイメージあるし」
「そのイメージは取り払いなさい」
「無理かもねー」
理駆と逢氷はジョギング程度に走りながら会話をしていた。
遅刻しているというのに、二人とも走るペースを上げようとはしない。
二人で話していることの方が楽しいのだ。
「逢氷さー、その音楽プレイヤーで何聴いてんの?いつも持ってるけど」
理駆は何気なく逢氷に質問した。
「…大好きな人の声、かな…」
理駆の質問に対して逢氷が返した返事は、なんとも意味深な返し方だった。
「普通に曲言えよ!」
理駆は逢氷の肩を叩きながら言う。
逢氷はそれに苦笑いを見せると、すぐに無表情になった。
(…僕が聴いてるのは……君のクラスでの会話だよ)
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