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理駆のクラスでの交流は広く浅い方だ。
簡単に言うと、理駆には友達が多い。
話題が豊富で、明るくおおらかな性格なので、その事実も頷ける。
逢氷と出会ったときは、正直逢氷が苦手だった。
だが、話してみると案外普通に話せて、会話の波長も他の人間より合った。
ある日、逢氷は理駆に自分が精神病の合併症だと言うことを、静かに暴露した。
そのとき、理駆はすぐには信じられなかった。
話せばこんなに元気のいい奴なのに、精神病を患ってるなんて有り得ないと偏った考え方をしていたからだ。
でも、逢氷の障害者手帳を見て、理駆は納得せざるを得なかった。
『…やっぱり、ひくよね…』
逢氷は儚げに笑うと、理駆の前から逃げるようにして走って帰った。
理駆は逢氷を呼び止めたが、逢氷にその声は届かなかったようで、理駆に背中を向けて走り続けた。
理駆は逢氷を好きだ。
だから逢氷の全てを受け止めて、一緒にいようと決めたのだ。
理駆はいじめを受けたことや、悪口を言われたことが全くと言っていいほどないので、逢氷の苦しみなんてわかるはずがない。
それは理駆も分かってはいた。
だが、逢氷を見捨てるようなことは理駆には出来ない。
この人間味のある温かさが、逢氷だけじゃなく他の人間を惹き付ける理駆の魅力なのだろう。
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