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理駆は難しい顔をして、片手で顔を覆う。
雅也じゃ出来ない、逢氷の代わり。
逢氷じゃないと出来ない、理駆への愛の注ぎ方。
理駆と逢氷、二人に共通して言えるのは、親の愛を満足に受けていないこと。
理駆が物心ついた時から、両親は奔放に毎日を過ごしていて、理駆の養育など、ほとんどそっちのけだったと言ってもいいくらいだった。
いわゆる『ネグレクト』という類だろう。
理駆に用意される食事はいつも貧相なもので、身長も体重も歳平均をかなり下回っていた。
だが、理駆は学校で習う家庭科で少しずつ料理を覚え、自分で作って食べるようになった。
そして今では、歳平均を遥かに超す身長になり、体重もそこそこになっていた。
細身なのは相変わらずだが。
親とまともに会話したのはいつだったか、理駆は時々そんなことを考える。
最早両親は自分には何の興味も示していないことぐらい、理駆には分かっていた。
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