好き、縛りたい位に

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昇降口に来て初めて分かったが、雨が降っていた。 理駆は生憎傘を持ち合わせておらず、肩をがっくりと落として落胆した。 理駆は溜め息を一つ吐き、鞄を頭の上に被せて走る。 アスファルトの地面からは雨が跳ねる音、靴で雨がびちゃびちゃと返る音がする。 理駆のズボンは膝下まで濡れていて、濃紺の色が更に濃くなっていた。 「…あっ!」 理駆は雨に濡れた地面に滑り、理駆の身体は下方に傾く。 理駆は鞄を持っているので、手を地面につけることは出来ず、ただ転倒を待つだけだった。 ――瞬間、理駆の腹部に何かがぶつかる。 それによって支えられた理駆の身体は、上方に向かって持ち直した。 「……大丈夫?」 理駆が顔を上げると、傘に隠れた姿が一つ。 「…逢氷?」 傘から覗くその顔は、少しの雨露を滴らせて、悲哀の表情をしていた。
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