好き、縛りたい位に

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「…はい、あげる」 逢氷は理駆に傘を渡し、雨に打たれながら歩き始めた。 理駆には逢氷の背中が小さく思えた。 そして、その姿を見た理駆の目からは、涙が溢れかえる。 「…逢氷!」 理駆は傘を差しながら走り始めた。 先程の逢氷への呼び掛けは、雨音に掻き消されて逢氷には届かなかった。 理駆はびちゃびちゃと足音を立て、逢氷を後ろから抱き締めた。 逢氷の背中から、理駆にひんやりとした体温が伝わる。 逢氷は濡れた髪を靡かせ、理駆の方を見た。 傘が二人を雨から疎外し、二人の顔を深く隠す。 理駆は逢氷に顔を近付けて、唇を重ねた。
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