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逢氷は家に着くと、すぐに靴を脱いで理駆にも靴を脱ぐように促した。
理駆が靴を脱ぎ終えたのを確認すると、逢氷は自分の部屋に理駆を連れていく。
理駆を先に部屋に入れ、自分の部屋の鍵を閉めた。
「逢氷…?」
理駆の表情は硬直している。
逢氷はゆっくりと理駆に近付く。
理駆は、逢氷のその姿に恐怖を覚えた。
「…よ、寄るなっ!」
理駆は叫んだ直後、はっとする。
逢氷は今にも泣き出しそうな表情を見せ、理駆に覆い被さった。
「あ、逢氷…!」
「……僕のこと、好き?」
理駆は頭がショートする。
逢氷の言葉の真意が分からないからだ。
「……ねぇ…どうなんだよぉ……!」
逢氷は理駆を力一杯抱き締める。
理駆は身体に痛みを感じ、逢氷に向かって叫んだ。
「す、好きだ!逢氷のこと!」
その言葉を聞いた逢氷は、理駆を抱き締める力を緩め、再び質問をした。
「…あの、雅也って人よりも?」
逢氷の目は虚ろで、ただ理駆だけを見据えている。
「あ、あぁ…」
理駆の答えを聞き入れた逢氷は、理駆の耳に口を近付けた。
「…じゃあ、これからあの子とは必要最低限話さないで」
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