好きだよ、理駆。

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次の日、学校が休みだったので、理駆は昨日のことをずっと考えていた。 逢氷の不可解な行動、逢氷の棘のある言葉、理駆以外の人間を拒絶する態度。 逢氷の複雑で歪な感情を、まだ理駆は知る由もない。 逢氷を拒絶することも、受け入れることも出来ない理駆は、ただ頭を抱えるだけだった。 そんなとき、理駆の携帯から軽快なポップスが流れてきた。 メール受信を知らせる音だ。 送信者は……逢氷。 『昨日はごめんね。』 いつもの絵文字を可愛く使ったメールではなく、簡潔であり、質素な感じのメールだった。 理駆は逢氷に対して不信感を募らせ、逢氷にメールを返していいのかと悩んだ。 結局、理駆は逢氷にメールを返信しなかった。 理駆の頭の中はごちゃごちゃに混ざり込んでいて、ものを考えるのも億劫になっていた。 そんなとき、家のインターホンが鳴った。 今、理駆の家には理駆一人しかいない。 理駆は重い身体を起こし、玄関へ向かった。 「よ、理駆!」 「…雅也か」 「邪魔すんぞー」 「おぉ…」 内心、まさか逢氷ではないかと不安に駈られていた理駆は、ほんの少し安心した。 まだ、逢氷とどんな顔して会えばいいのか分からないからだ。 「…お前さー、雪野 逢氷と仲いいじゃん」 「…あぁ」 「その雪野 逢氷が今までどんな仕打ち受けてたか知ってるか?」 「…仕打ち?」 「あれ?知らねーの? じゃ、教えてやるよ」 雅也はソファにどかっと座り、理駆を見た。 そして、雅也は小さく言う。 「あいつさ……集団レイプ受けたんだって」
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