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「…逢氷…」
「…ごめんね?理駆の大切な人をこんな風にしちゃって」
逢氷の目は心なしか嬉しそうだ。
雅也の倒れた身体を見て、何処か顔が笑っている。
「発作のときの、あの目って……」
理駆は繰り返すようにして呟き、全てを理解する。
昨日理駆が逢氷の家に来て、「雅也」と言ったときに不快そうな顔をしたことも。
雅也を見た瞬間に叫び声を上げたことも。
全ては、過去の―――
「…理駆、僕の事嫌いになった?」
逢氷の唐突な質問に、理駆は首を横に振る。
逢氷はその様子を見て安心したのか、雅也の身体に近付く。
「…じゃあ、さ」
逢氷は笑いながら口を開く。
「理駆の心臓を頂戴」
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