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光すら覆い尽くすんじゃないかと思える外の暗闇、やけに静かな4階廊下が私の足取りを重くする。
時折、窓ガラスに映る自分から視線を外し何度も後ろを振り返った。
「み、美咲……?」
怖い。早く美咲を見つけこの恐怖感を払拭したい想いで、何度となく震える声を振り絞る。
トイレへと近付く。
ぴとん――
ビクッと跳ね上がり、手を口にやり声を思わず殺す。
ぴちゃん――
歯がカチカチと振るえるのをこらえ耳を傾ける。
人の気配はしない洗面台の蛇口から漏れる水音らしい。肩と足の力が抜けへたり込んでしまう。
「美咲ぃ……どこ?」
蚊の鳴く声を出すのがやっとだった。
ドンドン!!
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