そのあと

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 硬直して動かない体を無理やり、静かに顔だけ音源へと向ける。 「っ……!」  声にならない。  トイレ正面の鏡。その向こう側から必死に鏡を叩く美咲がいた……。  ドンドン――  助けなきゃ。這いつくばり、鏡の前まで震える体に鞭を打ち進む。  助けて  声は聞こえないが、美咲は引きつった顔でそう言っている様だった。 「あッ!!」  鏡には私が映っていない。必死な美咲とトイレが見える。  ぞわりと鳥肌がたった。
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