生まれつき

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頬を赤くさせ、息を切らしている母親が赤ちゃんを求めている。 村永先生は母親に小さく微笑んみ、うなづくと、ドア近くにいた看護師さんに「旦那さんを呼んできて」と伝えた。 看護士さんの知らせ聞いて父親が分娩室に入ってくるやいなや、妻の所へ駆け寄ると、「頑張った。よく頑張ったな。」と汗だらけの妻の顔を撫でた。 村永先生は意を決して抱えていた生まれたばかりの赤ちゃんを二人にそっと差し出した。 母親は目に涙をいっぱいにためて我が子を見つめた。 父親も我が子の頭をそっと優しく撫でた。 その二人の仕草を見て、村永先生は固く閉じていた口をゆっくりと開いた。
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