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『ドレスなら私が出してあげる。
掃除だって私がしといてあげるわ。』
鏡がそう言うと、シンデレラの着ていた灰かぶりの服は消え、純白のドレスへと変わっていました。
「わぁ、凄い…、…でも、どうして?
どうしてこんなことまでしてくれるの?」
シンデレラは、僅に疑念を抱きながら鏡にそう問いかけました。
『だって私たち親友なんでしょ?
それにシンデレラは私を助けてくれたもの。
私はね、今までずっと寂しかったの。名前を忘れるほどずっと…。
だからね、お願い、帰ってきたら沢山お話聞かせて?』
鏡は灰かぶりの格好のまま悲痛の色を見せながら、シンデレラに小さな願いを言います。
「分かったわ、帰ってきたら沢山沢山お話しましょう。」
そう言って納戸から飛び出したシンデレラは、家の外に控えていたかぼちゃの馬車を見て小さな歓喜の声を漏らし、その夢のような馬車に乗り込み城を目指しました。
『行ってらっしゃい、灰かぶり姫…一時の夢を楽しんでね。』
鏡から抜け出した"それ"は、遠退く馬車を見詰め可愛らしく手を振りました。
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