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「シンデレラ…。」
王子は愛情を込めてそう呼びます。
王子は彼女の髪を掬いキスを落としました。
『王子様…。』
あと数日もすれば二人は晴れて夫婦となります。
相手は名も知れない娘なのですが、相手に関して誰も否定の言葉を発しませんでした。
城の皆はこれが当たり前かのように、よかった、よかったと、声を揃えます。
「王子、結婚式についてお話が、」
「あぁ、分かった今行く。」
王子はスルリと髪から手を離し、部屋を後にします。
『王子…、私は…―』
「エリシア…」
パタリと、閉まった扉の向こうでは、同じように王子も悲しみに満ちた声を漏らしていました。
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