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「…ん……ぷはぁっ!!」
十秒くらいの深いキスを終え、俺は顔を離した。
と同時に、だんだん顔が熱くなってきた。
うわ~、成り行きとはいえ女性(正確には機械)とキスをしてしまった…。やばい、恥ずかしい!!
てか何この子、口の中まで普通の人間のそれと同じなのですが!?
そのお陰で十秒中七秒は本能のままにやっちゃってました……なんだか生きててすいません。
---ありがとうございます。少々起動に時間がかかるので暫しの間お待ちいただけますか?
「あれ、起動はしたから俺の役目は済んだんだけど?」
---そうなのですが…その…。
「あ~。…分かった、一人にはしないからゆっくりやりな」
そういやこいつはずっと独りぼっちだったっけ。
仕方ない、もうちょい一緒に居ますか。
---ありがとうございます。ところであの…不躾ではありますが、私の話を聞いてもらえますか?
「ああ、話してみな」
まあ数年独りだったんだ、話したいこともたくさんあるのだろう。
だったら最後まで付き合おうじゃないの。
---私はずっと独りでした。ずっと呼び掛けていましたが…誰も気づかず、孤独な年月を過ごしてきて、このままずっと朽ちるまで独りのままと諦めかけてました。
しかし今日、アナタと逢えました。アナタが発した『助けてやる』の言葉を聞いて、本当に嬉しかったです。
同時に始めて、『寂しい』以外にも『幸せ』という感情を知ることが出来ました。
そして思いました、この幸せは、アナタの側にいて始めて生まれる感情だと。
私はもっと幸せを感じていたい、アナタと一緒にいたい、アナタの役に立ちたい。
「だからお願いします。アナタのそばにいさせてもらえないでしょうか?」
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