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念波の会話は無くなり、代わりに今まで目を閉じていた彼女が立ち、同じ声で話していた。
その瞳は蒼く、見ているだけで吸い込まれそうだ。
無表情ではあるが、さっきの質問の返答を待っているからか不安の色が若干見てとれた。
「…その質問に答える前に、俺の質問にも答えてもらおう。
さっき言った通り、俺は無能力だ。誰よりも劣っているし、誰よりも強くない。
こんな落ちこぼれのそばにいてもいいのか?」
やはりこれだけははっきりさせなくてはならない。
無能力ということは何も個性がないのと同じ。
そんな奴と一緒にいるということは、彼女も迫害を受けることになるだろう。
果たして彼女はそれでいいのだろうか?場合によってはまた孤独な状況になるかもしれないのに。
「…構いません。むしろ、私がアナタの能力(スキル)となります。アナタの手となります、足となります。ずっと共に居ます」
やはり無表情。
だが、その言葉からは明確な決意が見てとれた。
「……そうか」
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