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「…そういうことだったのか」
ただ今父さんに思考を読んでもらっています。
一から説明するのも面倒だし、俺が思い出して父さんが読心するのが一番手っ取り早い。
母さんと茜にはアリスが伝えるらしい、無事に伝えられるかどうか心配だ。
「さっきから、誰に説明してるんだ…?」
おっと、無心で思い出さなくては……。
「もう母さんビックリしちゃった、翔くんが彼女を連れてきたかと思っちゃった」
「大丈夫だよ母さん、このバカ兄貴なんかに彼女なんて出来るはずがないんだから」
あっちの説明が終わったみたいだ。
というかアンタら……言われる立場と言うものを考えたことがあるかい?目から汗が出そうになるよ、うん。
「私はマスターへ身も心も捧げるので、マスターが望むなら彼女にも奴隷にもなりますよ?」
アリス…そう言ってくれるのは嬉しいが、何故誤解を招きそうな発言をするのかな、かな?
「翔…頑張れ」
うん父さん、頑張るよ。まずはこの子に常識を教えないとね。
この子ったら俺が「服を脱げ」と言えばすぐに一糸纏わぬ姿になりそうだし、非常に恐ろしいです。
「さて…状況は読めたが。
翔、その子は寮に連れていくのか?」
そう、そこが結構重要な問題でして。
アリスがいくら機巧人形とはいえ、見た目は人間と大差ないんだよな。果たして寮に入れていいものか。
家に預けたらどうかと思ったが、
「私はマスターと同じ部屋に入ります、というよりそこ以外は断固拒否します」
当事者はこのように頑固ですし…。
仕方ない、親の脛をかじらせてもらいますか。
「父さん、教頭の権限でどうにかならないかな?」
「……分かった、こちらでも措置はしてみよう」
なんと父さん、俺が通う学校の教頭をやっている。
まあ迷惑をかけたくないからあまり父さんの権力を使いたくないけど…今回ばかりは仕方ないか。
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