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「マスター、力加減はどうでしょうか?」
「ああ完璧だよ、このまま続けて」
俺が思春期との葛藤中もあくまで真面目に背中を流すアリス、やっぱ良い子や。
でも普通に背中を流すなら、バスタオルとか体に巻いてもいいと思うんですよ俺は。何故全裸をチョイスするかね?
「マスター」
「ん~?」
「ちょっと失礼します」
アリスがそう言うと背中に柔らかな感触が……!?
どうやら抱きつかれたようだ、てか結構大胆ですねアリスさん。
「えと………アリス?」
「……マスターの鼓動が聞こえます」
なんかアリスはしみじみしてるし、鼓動が聞こえるのは当たり前だろうに。
しかし密着しすぎ!背中のほとんどがくっついてるからね!?
「マスターの鼓動を聞いていると…安心できます。
一人じゃない、マスターの近くにいると実感できます」
「…そういやお前は独りぼっちだったんだよな」
そうだ、アリスは俺と出会うまであの暗い一室で一人ずっと過ごしてきたんだっけな。ホントに可哀想な子だよ…。
人間、長い時間孤独に置かれると死にたくなる。
だがアリスはずっと、ずーっと呼び掛けてきたんだよな。自分を起こしてくれ、助けてくれって。
ホント…強い子だよ、アリスは。
「アリス、ちょっと離れてくれないか?」
「…はい……行きすぎた行動、すいませんでした」
あれ、俺が怒ってると思ってへこんでるよこの子。全然そんなことないのに。
背中から柔らかい感触が消えたのを確認すると俺は…
後ろを向き、お返しと言わんばかりにアリスを抱き締めた。
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