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「此処が天津原(アマツハラ)…。風が気持ち良いな…」
思わず呟く青年。青く澄んだ空。暖かい日射し。広がる草原。
「…誰だ?」
彼の視線の先には、少し離れた湖に真っ白い鶺鴒と戯れる一人の若い女。白地に、金色の刺繍がされた衣装。緋色、橙色、黄色、桃色。原色の花を模した装飾。
その姿に見惚れた青年。振り返った若い女。
「…?!」
「『こんにちは』」
確かにぶつかった視線。微かに聞こえた声。
「あ、あの! そちらへ行っても宜しいでしょうか?」
「『どうぞどうぞ』」
「お邪魔します。あの、俺、いえ私は、雲薙(クモナギ)という者です」
「私は明彩(ウルハ)。宜しくね」
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