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白亜は楸を一睨みすると窓辺に手をかける
そしてそこから飛び降りた
楸はただ呆然と立ちすくすだけ
―――――
楸さん
私は……
ギュッと目を瞑りながら瑠陰学園の敷地を走る
行く宛もなくただ闇雲に走り続けた
着いた先は真っ赤な薔薇が咲き誇る庭園
「ここは……」
走ることを止めた
そして小さく屈み、地面に落ちている真っ赤な花びらを摘まむ
「私と同じ……」
堕落したらもう元には戻れない……―――
ヒュッと風が吹く
それに誘われるように掌の花びらが空に舞った
その花びらを見届けた後、方向を変えて庭園を出ようとした
しかしそれは止められる
「そこにいるのは誰?」
見知った声によって
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