境界線

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無意識に手がポケットを探る 無機質な冷たさが指に広がった あの時はこれを託す時間がなかった だから私がいなくなったら初代からの物なんかに縛られず11代目になると思ってた やっぱり…… 渡さないといけない だけどどうやって? キーンコーンカーンコーン 授業始まりの合図が鳴り響いた いつのまにか休み時間になっていたらしい 「ああー……この話の続きはお昼ね!」 ニコッと笑った呉羽は前を向いて教材の準備を始めていた ――――――これもいつか渡さないといけない イコール会わないといけない 会うだけなら…… 向こうに敵意があるかは分からない だから無闇に近付けない 昔仲間だった人達を疑うなんてあの時は想像もしなかった 平和だったあの時 いつ崩れ始めたんだろう その原因を作ったのは? まぎれもない 私だ
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