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「分かった。気を付けろよ?」
「うん」
フードをしっかり被り直し、ポケットに手を突っ込みながら歩く
ギラギラと眩いばかりの光を放つ繁華街
白亜は懐かしむようにその通りを歩く
そして薄暗い路地にある小さなバーの前で足を止めた
「ホワイト……」
そう英語で書かれた看板はあの時より煤けて見えた
ギィッと音をたてながらバーに入る
そこは薄暗く大人っぽい雰囲気を醸し出していた
「いらっしゃい」
マスターの人の良さそうな笑みを見てふっと緊張の糸が緩くなった
白亜は返事を返さず、マスターに近いカウンターに座る
幸い客はおらず、2人だけの空間が広がった
「お客さん。注文は?」
「レモン」
今白亜が頼んだのはレモンのお酒
いわゆる酎ハイだった
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