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白亜はそのスプーンを躊躇なく持ち、クルクルとホットミルクをかき混ぜる
その間も続く沈黙
堪えきれず口を開いたのはマスターだった
「白亜……だよな?おかえり」
おかえり
私はただその一言が欲しかったのかもしれない
変わった、変わってないより先に欲しかった言葉
ギュッとフードを掴むとゆっくりとそれを頭から外した
「ただいま……」
「よく帰ってきたな。白亜」
誰よりも暖かいこの言葉に私は何度救われたか
私がここを立ち去ろうとした1年前
あの時、助けてくれたのもマスターだった
「ね、マスター。あの時……彼らは助かったんだね」
あの時とは1年前
忘れもしないあの大きな出来事
まるで昨日の出来事のように鮮明に思い出すことが出来る
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