取引

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――――― 大きく格式の高そうな理事室の扉の前で白亜はピタッと止まった そして少し深呼吸をする 出来ればこんなに早く家族に、ママに会いたくなかった 恍雅兄は仕方なかったとしても…… ママには自主的に会いに行くようなものだ 白亜は意を決したように大きく1歩を踏み出した コンコン 「誰だい?」 楸の猫かぶりな声が扉の向こうから聞こえた 白亜は作ったような高い声色で言う 「一之宮雅です。入ってもよろしいでしょうか?」 ガタッと扉の向こうで何かが動く音がした 動揺でもしてるのだろうか…… 「ああ」 ふっと自嘲気味に笑った後、重いその扉を力一杯押した
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