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急に止められたせいで小さな音色が理事室に響いた
―――チリンッ
「鈴?」
そう、鈴
仕事中は外してるけど今日は、そんな大きな仕事じゃなかったし……
外すの忘れてた
「離して」
腕を掴むその真っ白な手を見て、思わず自嘲気味に笑う
真っ白
私みたいどす黒くない
赤黒くない
ねぇ、染まるよ?
私に触れたら汚れるよ?
パシッとその手を振り払った
しかし鈴は鳴らない
鈴は白亜の手首にしっかり巻き付けられている
しかし鳴らない
なぜ?
その理由は簡単
普段から鈴をつけて、鳴らないように動いているから
1年前から始めた訓練のようなもの
それが鳴るってことは、動揺してるか訓練を怠ったかのどちらか
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