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「いない」
そう嘘をついた
さっさとどこかへ行ってほしいから
そんな思いも込められていたのかもしれない
「あー……そうですか。じゃあまた出直しますね!失礼しました」
元気よく頭を下げてにっこり笑う泉吏はあの頃と変わらない
泉吏……
ごめん
去ってゆく泉吏の後ろ姿に向かって心の中でそう言う
一難去ってまた一難と言うか……
再び楸に強く肩を掴まれた
「誰に許可して肩に手を置いてる」
もう選択肢はこれしかなかった
脅す
強い殺気が辺りに充満した
ビクッと身体を震わす楸に不気味な程に笑みを浮かべる
しかし楸は一向に手を話さない
白亜はさすがに痺れを切らしたらしい
チッと1つ舌打ちをしてその手を振り払おうとした
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