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「いたぞ!」
足を止めて建物の屋根を見ると一匹の巨大な狼がいた。
…顔が3つに別れてる狼が。
「ケルベロスか…」
「厄介ね」
浩介と美歌が作戦を練っていると隣で
「俺は先に行くぞ!」
トライデントを構えた優が走り出していた。
「あ!待って、すぐーー」
優を止めようとすると浩介が割って入り、美歌の行くてを阻んだ。
「まあまあ。ここはあいつに任せようよ。ケルベロスならあいつだけでも何とかなるでしょ?」
「ちょ…!自分が何を言ってるか分かってるの!?」
「まあまあ。落ち着いてよ、西条さん。それに、今の西条さんが行ったところで足でまといになるだけじゃない?」
「え…?」
「まさかバレてない、とか思ってるわけじゃないよね?この前悪魔に襲われた時の傷治ってないでしょ?」
「……」
美歌は黙ってしまい、右足の傷に手を当てる。
「それに優なら大丈夫だよ。あいつの武器は特級だから」
「え?特級?」
「あれ?分からない?じゃあ教えてあげるね。あいつの武器、トライデントは水の神ポセイドンの武器を元に作られてるんだ。」
「だからトライデント…」
「そう。そして、それを使いこなせるのはこの世でおそらく優だけだろうね。西条さんも知ってのとおりポセイドンは水を操る神様。つまりは水系統の武器の中でも最強なんだよ。だからあいつはこう呼ばれてるんだ」
大きく息を吸い、浩介は言葉を紡ぎ出す。
「水の皇帝【アクアエンペラー】と」
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